リストランテで、真珠婚式
本当は8月にあげるつもりで書き始めた記事。
結婚して30年、
二人、誕生日は1か月違いの60歳、
人生の半分を共にしてきたことになるのですね。
真珠婚式。
コロナ禍でなければ、
地元の馴染みのリストランテ、
スパークリングワインで乾杯して、
ソムリエおすすめのちょっと高めのソーヴィニョン・ブランを飲みながら、
おまかせコースのディナーで祝いたかった。
クリスマス、誕生日、息子の合格祝い、
離れて暮らす母や妹家族を招待して、母のお祝いをしたこともあった。
もう今はありません。
ファンも多いお店だったのだけれど、
食に実直なシェフ、
時代のツールを使うことを頑なに拒むソムリエ兼オーナー、
誠実にお客さんに向き合うばかりに、
理想とするおもてなしができなくなって、
生気が失われていって、先が見えない中頑張れなくなった。
苦しそうだった。
今思えば、正解だったのかもしれない。
そのお店のことを思い出すと、目頭が熱くなる。
大通りから一本入った、レンガ風ビルの二階。
そのビルの前を通るたびに見上げて、リストランテの名残を探してしまう。
淋しくて、その道を通らなくなった。
跡、1年、
同じような隠れ家レストランがと願っていたけれど、
今もイタリアンの面影を残す窓の外、
壁に掛けられた新しい看板が不似合いすぎて、また泣きたくなった。
不動産屋の事務所になっていた。